広大な面積をもつ岩手県では、「農業振興地域」に指定されている地域がおよそ18万ヘクタールにもわたるという。
その中には、住宅地に隣接するようなところもあり、農業と親和性のある施設などが建築されたりもする。
家づくりを行う私たちにも、多様な内容のご相談をいただく。
農業を営む方の場合、住居宅地部分を除き、周辺の土地がすべて、この農業振興地域に指定されていることもある。
この地域以外に建築用途にふさわしい土地が無い場合で、分家(周辺にご兄弟のお住まい)を建築しようとすると、この農業振興地域の整備計画の変更手続きが必要となる。
かつては、5年に一度の計画見直しにあわせて申請するしかなかったが、今では、随時の変更申出ができるようになっているようだ。
農業を取りまく状況は、かなり変化している。人口が増加している時代には、いかに食糧を確保するかが重要で、農地の確保と、宅地開発とが、せめぎ合いをしている状況があった。少子高齢化社会となり、就農者人口が減少の一途をたどる中で、農用地のあり方も変わっていかざるを得ないのだろう。
里山の美しい景観は、農業を生業とする人々が自然に優しく手を加えることで、成り立っていると強く思う。
自然を守りつつ共棲する地域社会が、これからも続いていくことを願いつつ、取り組んでいきたいものだ。