『ウッド・ショック』
かつて、1973年の中東戦争勃発を契機に、アラブの産油国が原油生産削減と原油の価格大幅引き上げを発表したことにより、世界の経済に大きな混乱がもたらされた、いわゆる『オイル・ショック』が起こりました。
現在、日本で起きている『ウッド・ショック』は、コロナ禍から回復しつつある米国での新築住宅需要増により、米国からの木材輸入量が不足していることに、起因していて、木材価格がかなり高騰してきています。
ゆい工房の家づくりでは、ほぼ100%に近く、岩手県産木材を使用していますので、その影響は、少なかったのですが、外国産木材を使う企業がここにきて、国産材の買付に動き出し、岩手県産木材も徐々に値上がりしている状況が出てきました。
地域の木材を使うことを、一つの使命と考えている私たちにとっては、
なんとも複雑な思いで、この度の状況を受け止めています。
木材の生産には、とてつもない時間がかかります。
間伐材を利用する場合でも30年生くらい、通常の構造材などでは、60年から70年更には100年くらい育った木を伐採し、製材し、家づくりの材料とします。
一時のショックで、生産を早めるということも難しいものですし、安定的な需要と供給の関係を築いていかなければなりません。
日本の場合、伐採すれば、必ず植林をして、豊かな森林を守り続ける文化が残されています。
循環型の資源である森林が、いい形で利用され、こんな『ショック』も乗り越え、これから先も、自然と共生する家づくりが継続されるように、努めていかなければと思うところです。